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2008年11月

地域包括支援センターについて

Onuma 高齢者とその家族は健康や今後の生活、介護保険の利用方法など様々な不安を抱えています。けれどもいざ介護が必要になると、どこに相談すればよいのかわからなかったり、窓口がわからずたらいまわしにあう場合があります。地域包括支援センターこと「包括」は、高齢者をめぐる不安や相談に対応するため保健、医療、福祉、介護保険、介護保険外とバラバラだった窓口を一本化して、2006年にスタートしました。Hokatu_3

鎌倉市内では介護施設や福祉組織が委託を受ける形で、鎌倉、腰越、深沢、大船、玉縄の各地域に「包括」を設置しています。業務として専属の保健師(看護師)、社会福祉士、主任ケアマネジャーが相談を受け、内容に応じて要介護の人にはケアマネジャーを紹介することで介護サービスとつなげ、要支援の人には介護予防のプランを提供し、要介護でも要支援でもない人の見守りや、ちょっとした手助けが必要な人には手助けを受けられるようにボランティアを紹介します。Fureaihokatu そのほか高齢者の虐待防止や消費者被害などの対応、成年後見制度の活用まで幅広い分野をカバーします。このため「包括」のスタッフは専門業務のみを行うのではなく、相談を受けた人を中心として連携して対応していきます。相談の来訪者を待つばかりではなく、不安や相談事があるのに来られない高齢者とコンタクトをとるため、各行政センターにも月1回程度窓口を設けたり、自治会館や人の集まる場所に「包括」の存在をPRしたチラシを配っています。高齢で窓口まで来られない人も多いため、連絡があると自宅まで出かけたりもします。地域に孤立した高齢者がいると聞けば信頼関係を築くため毎日通い詰め、ようやく相談業務が始まることもあるそうです。

また、それぞれの「包括」が高齢者の集まる場所に出向き、かんたんな健康チェックや相談を催すこともあります。「予防」も包括の業務のうち。早めの対応が介護の予防につながるのです。「相談」と「予防」を受け持つ「包括」は、まさに地域の高齢者に関する『よろず相談所』。今回は地域の特性も考えて、鎌倉市社会福祉協議会(以下、「社協」)の運営する「包括」と、昨年度新しく出来た特養「ふれあいの泉」が運営する「包括」を取材しました。

Shakyo 「社協」の「包括」は鎌倉市御成町の鎌倉市福祉センター2Fの社協事務局に窓口を置き、鎌倉地区を担当しています。もともと鎌倉地域は広いのですが、社協は福祉系のボランティア団体の窓口。そのネットワークを活用して孤立した高齢者とボランティアをつなげます。また「予防」事業として今年の4月から2カ月に1回、ティールーム開催も始めました。簡単な体操や健康相談を行い、参加者同士が交流する場を作ることで支えあいを促し、介護状態を予防します。回を重ねるごとに人数は増え、現在は30人ぐらいが訪れます。福祉センター2F は市民が利用できる会議室がある公民館的存在。人が集まる場所であることを生かして高齢者同士や訪問者に出会いの場を設定し、自然な形で地域とのつながりを作ろうという社協らしい事業だと感じました。

Fureaihokatu2 一方、大船地域の「包括」は、今泉に昨年5月にオープンした特養「ふれあいの泉」と同じ法人が運営し、特養のすぐ近くにデイサービスセンターと併設した窓口があります。この地域の今泉台は高齢化率が40%を超え、問題は深刻です。ふれあいの泉の包括は、保健師・主任ケアマネジャー・社会福祉士の他、予防プランナーの4人が受け持ちます。通常の包括のスタッフ数より独自に1人増員することで、高・高齢化地域に対応しているのです。4人は担当エリアを区分して巡回しますが相談件数は月に約500件。本人や家族、民生委員など様々な人から情報が寄せられ、介護保険制度自体への質問も多いようです。ここでは『とにかく地域に出て行く』を合言葉に交流活動には積極的に参加します。民生委員などキーマンとのつながりを大切にしながら、相談者を地域につなげるためです。Oshaberi たまたま取材した日は「包括」のすぐそばにある町内会館で、自立した高齢者向けの「おしゃべり会」が開催されていました。会は民生委員を含む自治会(町内会)のボランティアを中心に「包括」のスタッフも参加。20名ほどの高齢者が、お茶と手作りのちょっとした軽食がふるまわれるなか和気あいあいと過ごします。包括のスタッフは介護保険制度のお知らせや健康相談、体操などを担当し、介護保険制度のPRとともに高齢者の状態の把握に努めていました。

Fukusima 特養「ふれあいの泉」の施設長であり地域コーディネーターの草分け的存在の福島さんは語ります。「高齢者を支えるために、サービスや施設を介護保険で利用できるようになりました。『包括』は高齢者の相談に応じることで、人とサービスをつなげるお手伝いをしますが、高齢化が進む中、それだけではとても追い付きません。地域の人たちがつながりを密にして支えあうことが重要です。高齢者の問題は、結局は地域の問題でもあるのです。」お話を聞いて、様々な人が交流してつながり、支えあい、元気のある地域になることが高齢者問題の解決につながるのではないかと思いました。地域に根差した「包括」はその仲介役として、これからますます重要な存在になっていきそうです。

「鎌倉介護ガイド」地域包括支援センターのページ

【施設分類】地域包括支援センター
【施設情報】
○鎌倉市社会福祉協議会地域包括支援センター
住所:神奈川県鎌倉市御成町20-21
電話:0467-61-2600
FAX:0467-61-2601
URL: http://www.kamakura-shakyo.jp/p05.html
アクセス:JR鎌倉駅より徒歩5分
※ティールーム開催予定は、鎌倉市社会福祉協議会地域包括支援センターにお尋ねください。

○ふれあいの泉地域包括支援センター
住所:神奈川県鎌倉市今泉2-4-10
電話:0467-43-5977
FAX:0467-43-5978
E-mail:houkatu-izumi@reijukai.or.jp
アクセス:JR大船駅より江ノ電バス「鎌倉湖畔循環」(約15分)バス停「福泉」より徒歩1分

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