相談窓口

認知症講座

Img_6016 認知症講座がこの地域でも頻繁に開かれるようになってきました。高齢化が進む中、80歳以上の一割近くが発症するという認知症に対して、理解を深めることが重要になってきたためです。4月に鵠沼の小規模多機能居宅介護ホームまちかどメンバーズ倶楽部鵠洋で開かれた認知症講座は大船の信愛クリニックの院長・井出先生が講師で介護家族や介護職が20名以上出席しました。井出先生は認知症とは何かから話しだされましたが、「認知症は治りません」とはっきりとおっしゃいます。講座では参加者同士が治らない認知症者に対し介護の目的や目標を話し合うことで、巧みにゴールを抽出します。そのうえで認知症ということを認め、介護や生活の中でそれに対応した工夫をすることの大切さを強調されました。また一人で決して抱え込まず、施設やサービスを利用することで介護者の負担を減らすことを提言なさいました。

Img_6822 5月に鎌倉市の福祉センターで開かれた認知症ケア研究会は市内の介護職を中心に約45名が参加しました。先に開かれた認知症の事例紹介の様子と、その後のケアについて報告がありました。具体的な事例をあげ、ケアの方法を参加者同士が話し合い考えることで、方向性が出て介護者が元気をもらったとのことです。そのひとによって症状がことなる認知症の難しさと、話し合うことの重要さ。現場で迷いながらケアする介護職の孤独も垣間見えました。

来る7月11日には「認知症地域支援フォーラム」が鎌倉市福祉センターで開かれます。認知症になってもその人らしく暮らしていけるための支援と町づくりについて話し合われます。
こうした講座に出るにつけ、認知症の症状は千差万別で症状を持った人や家族が自分らしく暮らしていくために、家族や介護者、地域の人が話し合い、連携して支え合うことが必要なのだと感じます。

認知症になっても地域でその人らしく暮らすために(フォーラム)
日時:2009年7月11日
場所:鎌倉市福祉センター
対象:認知症に興味ある市民
参加無料
主催:鎌倉市市民健康課
お問い合わせ&参加申し込み:0467-61-3976(鎌倉市市民健康課)
内容:
午前の部10:00~12:00
認知症介護研究・研修東京センター 永田久美子氏の講演
午後の部 13:00~
報告 認知症の福祉体験学習(手広中学生) サポート会活動(かまくらりんどうの会)
シンポジウム 認知症になっても安心できる地域づくりとは

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排泄ケア講演会

Img_5337 さる2月14日(土)「排泄ケアが暮らしを変える」という講演会が神奈川県民ホールで開かれました。主催は福祉用具を扱う福祉クラブ生協W.Coエール、講師は高齢生活研究所長の浜田きよ子さんです。浜田さんは京都で排せつ用具の情報館「むつき庵」を運営しています。内容は排泄のしくみや主な失敗の原因、用具やおむつの正しい使い方などで、男性も含む家族や介護者、ケアマネ等150名以上詰めかけ、非常に熱心に聞き入りました。

Img_5339 浜田さんはご自身の母親の介護をきっかけに高齢者の暮らしを広げる道具について研究し、2003年におむつやポータブルトイレなどの排泄用具を展示、研修、相談する場として「むつき庵」を開設しました。排泄は生活の重要な部分ですが、プライバシーにかかわるので相談しにいうえ用具を手に取れない、という厄介さがあります。答える形で設立されたむつき庵は開設初年度に2000人の来訪者を迎え、現在は研修で多くの人に排泄用具の正しい使い方を伝え、利用者の相談に応じています。また高齢者施設との密接な連携のもと、使い勝手や介護の場面にあった使い方の実験や研究も行っています。ここからたくさんの研Img_5346 修を受けたおむつに詳しい人=オムツフィッターが全国に巣立ち、正しい排泄用具の使い方を伝えています。神奈川を含む全国に規模を小さくしたミニむつき庵も登場しています。

そうした活動を背景に浜田さんは排泄ケアについて、失禁の原因把握、ベットの高さや向き、ポータブルトイレの位置などの環境整備、適切なタイミングでのトイレ誘導や自立を支える介助の重要性を、豊富な事例や図などで説明しました。圧巻は壇上でいくつものおむつを見せた後、モデル(むつき庵で研修Img_5355 を受けたスタッフたち)を使ってのおむつのあて方の実演。体や状態に合ったものを選び正しく当てれば、余計な隙間ができずに体にフィットして、寝返りを打ってもモレやムレを防げることが見ている前で示されます。正しい使い方で尿意を取り戻しおむつがはずせるようになった事例やおむつが変わって姿勢がよくなり、そのことで食事もしやすくなったとの声もあることが紹介されました。

Img_5363_2  「相談しにくさや介護の都合から、本人の快適性を考えずにおむつが安易に、不適切に使われることがしばしばあると言われる介護の現場。しかしこれは本人の自立を妨げ、結果的に介護の負担もふやすのです。高齢者が自分らしく豊かに生きることを大切に考え、そのためにおむつなどの福祉用具を上手に活用することが重要です」と浜田さんは強調します。説得力のある言葉とデモンストレーションで、福祉用具の状態にあった正しい使い方の重要性を参加者は改めて認識した講演会でした。

むつき庵のホームページは≫こちら

鎌倉介護ガイド 福祉用具のページは≫こちら

鎌倉介護ガイド 相談窓口のページは≫こちら

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地域包括支援センターについて

Onuma 高齢者とその家族は健康や今後の生活、介護保険の利用方法など様々な不安を抱えています。けれどもいざ介護が必要になると、どこに相談すればよいのかわからなかったり、窓口がわからずたらいまわしにあう場合があります。地域包括支援センターこと「包括」は、高齢者をめぐる不安や相談に対応するため保健、医療、福祉、介護保険、介護保険外とバラバラだった窓口を一本化して、2006年にスタートしました。Hokatu_3

鎌倉市内では介護施設や福祉組織が委託を受ける形で、鎌倉、腰越、深沢、大船、玉縄の各地域に「包括」を設置しています。業務として専属の保健師(看護師)、社会福祉士、主任ケアマネジャーが相談を受け、内容に応じて要介護の人にはケアマネジャーを紹介することで介護サービスとつなげ、要支援の人には介護予防のプランを提供し、要介護でも要支援でもない人の見守りや、ちょっとした手助けが必要な人には手助けを受けられるようにボランティアを紹介します。Fureaihokatu そのほか高齢者の虐待防止や消費者被害などの対応、成年後見制度の活用まで幅広い分野をカバーします。このため「包括」のスタッフは専門業務のみを行うのではなく、相談を受けた人を中心として連携して対応していきます。相談の来訪者を待つばかりではなく、不安や相談事があるのに来られない高齢者とコンタクトをとるため、各行政センターにも月1回程度窓口を設けたり、自治会館や人の集まる場所に「包括」の存在をPRしたチラシを配っています。高齢で窓口まで来られない人も多いため、連絡があると自宅まで出かけたりもします。地域に孤立した高齢者がいると聞けば信頼関係を築くため毎日通い詰め、ようやく相談業務が始まることもあるそうです。

また、それぞれの「包括」が高齢者の集まる場所に出向き、かんたんな健康チェックや相談を催すこともあります。「予防」も包括の業務のうち。早めの対応が介護の予防につながるのです。「相談」と「予防」を受け持つ「包括」は、まさに地域の高齢者に関する『よろず相談所』。今回は地域の特性も考えて、鎌倉市社会福祉協議会(以下、「社協」)の運営する「包括」と、昨年度新しく出来た特養「ふれあいの泉」が運営する「包括」を取材しました。

Shakyo 「社協」の「包括」は鎌倉市御成町の鎌倉市福祉センター2Fの社協事務局に窓口を置き、鎌倉地区を担当しています。もともと鎌倉地域は広いのですが、社協は福祉系のボランティア団体の窓口。そのネットワークを活用して孤立した高齢者とボランティアをつなげます。また「予防」事業として今年の4月から2カ月に1回、ティールーム開催も始めました。簡単な体操や健康相談を行い、参加者同士が交流する場を作ることで支えあいを促し、介護状態を予防します。回を重ねるごとに人数は増え、現在は30人ぐらいが訪れます。福祉センター2F は市民が利用できる会議室がある公民館的存在。人が集まる場所であることを生かして高齢者同士や訪問者に出会いの場を設定し、自然な形で地域とのつながりを作ろうという社協らしい事業だと感じました。

Fureaihokatu2 一方、大船地域の「包括」は、今泉に昨年5月にオープンした特養「ふれあいの泉」と同じ法人が運営し、特養のすぐ近くにデイサービスセンターと併設した窓口があります。この地域の今泉台は高齢化率が40%を超え、問題は深刻です。ふれあいの泉の包括は、保健師・主任ケアマネジャー・社会福祉士の他、予防プランナーの4人が受け持ちます。通常の包括のスタッフ数より独自に1人増員することで、高・高齢化地域に対応しているのです。4人は担当エリアを区分して巡回しますが相談件数は月に約500件。本人や家族、民生委員など様々な人から情報が寄せられ、介護保険制度自体への質問も多いようです。ここでは『とにかく地域に出て行く』を合言葉に交流活動には積極的に参加します。民生委員などキーマンとのつながりを大切にしながら、相談者を地域につなげるためです。Oshaberi たまたま取材した日は「包括」のすぐそばにある町内会館で、自立した高齢者向けの「おしゃべり会」が開催されていました。会は民生委員を含む自治会(町内会)のボランティアを中心に「包括」のスタッフも参加。20名ほどの高齢者が、お茶と手作りのちょっとした軽食がふるまわれるなか和気あいあいと過ごします。包括のスタッフは介護保険制度のお知らせや健康相談、体操などを担当し、介護保険制度のPRとともに高齢者の状態の把握に努めていました。

Fukusima 特養「ふれあいの泉」の施設長であり地域コーディネーターの草分け的存在の福島さんは語ります。「高齢者を支えるために、サービスや施設を介護保険で利用できるようになりました。『包括』は高齢者の相談に応じることで、人とサービスをつなげるお手伝いをしますが、高齢化が進む中、それだけではとても追い付きません。地域の人たちがつながりを密にして支えあうことが重要です。高齢者の問題は、結局は地域の問題でもあるのです。」お話を聞いて、様々な人が交流してつながり、支えあい、元気のある地域になることが高齢者問題の解決につながるのではないかと思いました。地域に根差した「包括」はその仲介役として、これからますます重要な存在になっていきそうです。

「鎌倉介護ガイド」地域包括支援センターのページ

【施設分類】地域包括支援センター
【施設情報】
○鎌倉市社会福祉協議会地域包括支援センター
住所:神奈川県鎌倉市御成町20-21
電話:0467-61-2600
FAX:0467-61-2601
URL: http://www.kamakura-shakyo.jp/p05.html
アクセス:JR鎌倉駅より徒歩5分
※ティールーム開催予定は、鎌倉市社会福祉協議会地域包括支援センターにお尋ねください。

○ふれあいの泉地域包括支援センター
住所:神奈川県鎌倉市今泉2-4-10
電話:0467-43-5977
FAX:0467-43-5978
E-mail:houkatu-izumi@reijukai.or.jp
アクセス:JR大船駅より江ノ電バス「鎌倉湖畔循環」(約15分)バス停「福泉」より徒歩1分

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認知症の方を支える家族の会「かまくらりんどうの会」

認知症の方を支える家族の会「かまくらりんどうの会」
みんなでデイ

All みんなでデイは、認知症の方や家族、ボランティアなどりんどうの会の仲間たち皆で集まり、昼のひと時を楽しむことで日頃の介護疲れを癒し、元気を出してもらえればという思いから始まりました。

毎月1回、第3木曜日の1時30分から3時30分まで鎌倉市社会福祉センターで開かれ、毎回30~40名の参加で歌や軽い体操、ゲームなどで大いに盛り上がります。皆揃って子どもにかえったかのように盛り上がってしまうその裏側には、メンバーやボランティアさんたちの細かい配慮があります。参加者の健康状態を開始前に把握し、初参加者と家族の様子を見守ったり、必要に応じて個別に声掛けしたり。男性参加者には男性メンバーが話しかけ、打ちとけやすい雰囲気を作ります。そんな気遣いが、初めての参加でもすぐに溶け込め、楽しめてしまう「みんなでデイ」を支えています。心身ともにリフレッシュした後には、お茶とお菓子で談笑しつつ、悩みを相談し合ったり、また介護の先輩であるメンバーがアドバイスをしたりなどであっという間の2時間です。

Check 「かまくらりんどうの会」は、1985年に痴呆性老人を抱える家族の会に参加した家族が集まり発足しました。今年で22年になります。
みんなでデイの他にも、困ったときの対応や施設の利用についてなどの体験交流や情報交換、勉強会などのサポート会を開催したり、新年会や日帰りツアーといったリフレッシュ行事、また、「りんどうテレホン」認知症相談など多様で貴重な活動を行っています。
りんどうの会の会員は、現在認知症の方を抱えている方、抱えたことのある方、そして会に賛同してくださる方など総勢約150名。
「同じ苦労をしている人同士支え合い、力を合わせれば元気が出る。そしてよい知恵も出てくる」りんどうの会はこの言葉をまさに実践しています。

「りんどうテレホン」0467-23-7830(第1・3土曜日にのみ)
活動の詳細についてはりんどうの会HPをご覧下さい。
http://wwwl.kamakuranet.ne.jp/~w-yoshi/

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