デイサービス

藤沢 富士白苑(特養併設型デイサービス)

Fuji1これまで、当「鎌倉介護ガイドレポート」では高齢者の入居型施設を中心にさまざまな介護サービスを紹介してきました。ここからは在宅で日中過ごせる施設として、デイサービスをいくつか紹介します。
高齢者が増え続ける中、入居施設での受け入れには限界が見えてきました。国は高齢者に在宅で可能な限り自立した日常生活を健康に過ごしてもらうことに施策の重点を移しています。在宅で受けるサービスとして身近なものになってきたデイサービス。これは、介護保険の要支援~要介護者を対象に日中を過ごす施設サービスです。自宅にこもりきりの孤独感の解消や心身機能の維持回復、家族の介護負担の軽減などを目的として実施されています。

こうしたデイサービスは介護保険を使うサービスの一種で、利用者は送迎と食事、入浴、レクリエーション、機能維持の訓練などが提供され、おおむね午前9時ごろから3時過ぎごろまで、送迎の時間を入れると9時前から5時近くまでを施設(自宅以外)で過ごします。特養(特別養護老人ホーム)や老健(介護老人保健施設)が同敷地内で運営する施設併設型や、デイサービスのみの単独型など多様な形態があります。ケアマネジャーがケアプラン作成をする居宅介護支援センターと一緒になっている場合も多いようです。


Img_4255デイサービス利用対象者は広範囲ですが、実際には在宅高齢者が対象のため、要介護1~3程度の比較的軽度の方の利用が多いと言われています。介護保険制度によって施設の広さや人員配置数で受け入れ可能な高齢者の数が定められています。15名以下の少人数対象のデイ(単独型の場合が多い)もあれば、80名近くを受け入れる大規模な施設併設型もあり、それぞれ雰囲気や特徴が異なります。ここ数年デイサービスが増加し、利用者が選択できるようになりました。デイサービスを選ぶ際は、利便性や連絡の良さとともにそうした特徴や施設との相性を考えることが大切だと言われています。

今回は特養併設のデイサービスを紹介します。特養併設型のデイは設備が整い、特養と合わせると看護師や介護者も充分で在宅が困難になった場合の特養へのショートステイや入居も視野に入れられるため、「要介護度が高い高齢者も受け入れる、中~大規模の利用者数のサービス」と考えられます。

取材した特養富士白苑は一昨年藤沢にオープンしました(本部は平塚)。デイは一日25~30名程の利用者がいます。施設自体は新しくて機能的な作り。ゆったりとした空間に、バリアフリートイレなどインフラが整い、看護師2~3名と多数の若いスタッフやベテランが介護にあたる、ゆとりある雰囲気の施設です。

取材日は身体の機能維持のための体操教室が開かれていました。外部からスポーツクラブ所属のインストラクターが来て利用者の機能を考えた指導をしています。座ったままでもできる負担の少ない体操を音楽に合わせて行い、テンポは最初ゆったり目に、中盤はやや軽快に、最後はまたゆっくりと緩急をつけて構成されています。「おなじみ」のメロディーが多く口ずさむことができそうです。インストラクターは参加者に動きながら絶えず声かけを続け、5名以上のスタッフが、利用者の身体状況に合わせて見守り、補助等のサポートを行っていました。
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体操の後はお茶の時間。この日は特養の入居者と一緒に月に一度の「喫茶店の日」。最上階のホールを喫茶店仕立てに介護職員がサービス係を担当して、デイの利用者と入居者が同じスペースでお茶を楽しみます。ボランティアの演奏も入って、ゆったりした中で利用者同士がおしゃべりして活気があります。一日のプログラムに静と動があり、スタッフの若々しさも相まって「元気さ」を感じるデイでした。

藤沢富士白苑 

Img_4314【施設分類】デイサービス

【アクセス】
〒252-0801 藤沢市長後2,722-1
TEL:0466-45-3815
小田急線「長後駅」から神奈中バス「並塚」停留所より徒歩5分
定員30名

【利用資格】
・要支援1以上
・地域は特にないが、送迎ができる範囲内。
現在こちらの施設では要介護度1~5の方が利用しているが、要介護度の平均は1.2と軽度。

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【建物】

藤沢市の北西にあり、綾瀬、大和に隣接している。そのため利用者は3つの市に在住している。敷地は市民の森に接しており、豊かな自然に恵まれている。特養としての施設の建物は鉄筋3階建。デイサービスは1階部分を利用。受付の先の小学校の教室2つ分ぐらいの広いスペースを1日25~30名ほどが利用。特養の併設型デイである特徴を生かし、バリアフリートイレ(一部シャワー機能付き)、手すりがある大浴場や、体が不自由でも入れる特殊浴槽、軽体操・ストレッチ用の器具、公文学習用のスペースなどの設備を備える。リビングにあたる部分はイスとテーブルがあり、そのセンターは体操などをするための空間。奥には利用者の休息用のベットなどがある。窓からは庭と緑豊かな市民の森の一部が見える。


Img_4250【サービスの特徴】

利用者に合わせ「身体の機能を維持する」ため、月に数度インストラクターが入って体操を行う。利用者の趣味に合わせてカラオケ、アロマ、お化粧講座なども外部の講師を招いて開催し、公文学習や、軽体操も個人の希望に合わせて随時行うことができる。特養の入居者も一緒の喫茶の日や音楽会も設けイベントももりだくさん。日常的には利用者同士の雑談などコミュニケーションの時間も大切にしており、そのために「相性」を配慮した席順などに工夫をして、全体として「活力」を引き出すメリハリのあるスケジュールを作っている。

Img_0593【費用の目安】

622円/1回(要介護1)~1,061円/1回(要介護5)
(食事代実費、入浴、個別機能訓練 など別費用が必要です。)

【運営母体】
平塚に本拠があり県内西部に3つの特養と有料老人ホームを運営する富士白グループ。特養ではデイサービス、ショートステイや居宅介護支援事業、地域包括支援センター事業なども行っている。


Img_4301【施設概要】
デイサービス部分
・延床面積:7909.58平方メートル(デイサービスは116.06平方メートル)
・建物:鉄筋コンクリート造/3階建(うち1階の一部分)
・開設:H24年4月
・スタッフ配置:総数19名(デイサービス) 
・風呂設備 一般浴(5名程度同時入浴可)、中間浴2台(座りながら入れるタイプ)、特別浴室1台(寝たまま入れるタイプ)
・うんどう楽園(リハビリ機器)有、くもん学習療法(認知症改善・進行予防)有

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デイサービス ケアセンターりんどう

Img_1377 デイサービスでは、特別養護老人ホームや単独で設置された施設に日帰りで通い、食事や入浴、リハビリ、レクリエーションなどを受けられます。高齢者の心身機能の向上だけでなく、介護者のリフレッシュにもつながることから、在宅生活を支える重要なサービスと言われます。しかし、認知症や徘徊があり常時見守りが必要な高齢者は、受け入れが難しいケースもあります。今回はそうした認知症の方を積極的に受け入れるデイサービス施設・ケアセンターりんどうを取材しました。

ケアセンターりんどうは、社会福祉法人鎌倉静養館が運営するデイサービスセンター。JR鎌倉駅から徒歩4分、御成通り商店街から若宮大路側に入った通りにある御成町在宅福祉サービスセンターの2階にあります。1階は障害者が運営する食堂「ふれんず」です。
1階からエレベーターで2階に上がるとすぐにりんどうの入口があります。室内の中央には2つの大きな円形テーブルが置かれ、そこで食事やレクリエーションを楽しみます。奥にはソファとベットがあり、個人のペースに合わせてゆったりとくつろげます。

 Img_1375 利用者は鎌倉市在住で、要支援・要介護の方、認知症の人対象となっていて、若年性認知症の人や行動障害のある人など、他の施設では対応困難な人も受け入れています。ご利用者のうち女性が8割、2割が男性。平均年齢は84.28歳で、平均要介護度は3.27と比較的重度で、周辺症状多発期の人が増えています。利用の際には、スタッフが1人1人の身体的状態と環境的な面、さらに他の利用者との相性なども含めて相談・検討してスケジュールを組みます。頻度は週2~3回の人もいれば、毎日通う人もいます。現在のところ待機者数は数名で最長3ヶ月待ちの状況です。
1日の流れは、午前8時45分から送迎が始まり、センターに到着後は健康チェックと入浴をし、その後昼食。昼食は同じ法人の特別養護老人ホーム静養館で作られたお弁当を食べます。午後はレクリエーション(体操・音楽療法・工作など)、おやつ、レクリエーション(歌・クイズなど)で16時頃に終了です。

 取材の時、1歳の娘を連れて行きました。スタッフに「ぜひお子さんと一緒にいらしてください、お互いに良い刺激になるでしょうから」と勧めていただいたからです。利用者は子どもを見た瞬間に目が生き生きとして「抱っこさせて」「この頃が1番かわいいのよね」「もうこんなに歩いたら目が離せないわね」と母親の顔になっていて、みんなにちやほやされた娘もいい気分。そんな娘を見て、私も嬉しくなりました。Img_1371 この日のレクリエーションは真夏の暑さを凌ごうと団扇に花火やお花などの模様をつけ、オリジナルの団扇作り。私も娘もすっかり仲間入りで一緒に作らせていただきました。完成した団扇を褒め合ったり、おやつの後には自主的に何人かでひらがなを書く練習をするなど、利用者のほとんどが認知症がおありなのにもかかわらず、全体的にとても穏やかな雰囲気でお互いを認め合っているのが印象的でした。この雰囲気が出せるのもスタッフが利用者自身の力をできるだけ引き出す支援をしたり、利用者同士の交流が自然と出来る様にマッチングに配慮したり、声掛けや役割づくりしたりのサポートあってこそ。「利用者本位のケア」「その人らしさを尊重したケア」をめざして、チームワークでサービスに取り組んでいる様子がうかがえます。

また認知症高齢者を支える家族会「かまくらりんどうの会」や地域ケア関係者との協力連携にも力を入れ、各曜日1名、傾聴やお茶出し、整容のボランティアや、音楽療法のボランティア(不定期)の来訪も受けて、地域とのかかわりを大切にしているようです。今後は、認知症高齢者がその人らしく生き生きと暮らしていけるように、施設だけでなく地域全体でどう支えていくかが大きな課題とのお話もありました。

・以上は2008年8月現在の情報です。

「鎌倉介護ガイド」デイサービスのページ

【施設分類】 デイサービス

【施設情報】
住所:〒248-0012 鎌倉市御成町2-5御成町在宅福祉サービスセンター2F
電話番号:0467-23-5430
FAX番号:0467-23-5711
URL:http://www1.kamakuranet.ne.jp/kamakura-seiyokan
アクセス:JR鎌倉駅徒歩4分
定員:20名

延床面積:120㎡
建物:鉄筋コンクリート造/地上3階
開設:1992年11月
スタッフ配置:1:3
スタッフ人数:11名、看護師2名
施設内容:食堂兼コミュニティースペース、静養スペース、浴室(一般浴と機械浴)、トイレ、相談室

【費用の目安】介護保険の1割負担分+食費750円(1回)
   例)要介護3で週2回利用した場合、月約14,000円。

【運営母体】
社会福祉法人 鎌倉静養館(キリスト教の精神に基づいて運営)
設立:1954年
関連施設:特別養護老人ホーム鎌倉静養館、軽費老人ホーム鎌倉静養館、ケアセンターやまざくら

※以上、取材による(データは平成20年8月現在のもの)

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